サイレントマジョリティー聴いた?
君は目撃しただろうか。
一度は耳にしたであろう、欅坂46のデビューシングル「サイレントマジョリティー」
今年最大といってもいい衝撃を与えたこのデビューシングル、正直最高っす。
サイレントマジョリティ
「物言わぬ多数派」「静かな多数派」
1969年、アメリカ合衆国のニクソン大統領がこの言葉を用いたことから世間で使われるようになった。
当時ベトナム戦争に反対する学生たちのデモが行われていて、ニクソン大統領は演説で「運動や発言をしない国民の大多数は、ベトナム戦争に反対していない」と唱えた。
この歌の2番の最初の歌詞に
どこかの国の大統領が言っていた(曲解して)
声を上げない者たちは 賛成していると…
とあるが、ニクソン大統領についてであろう。
しかし、この歌詞はもう1人の対象人物である、岸信介首相に対しての歌詞であるとも考えられる。1960年に安保闘争の時に「国会周辺は騒がしいが、銀座や後楽園球場はいつも通りである。私には“声なき声”が聞こえる」と発言。
去年安保法案が可決されたが、安倍首相の祖父はまさかの岸信介である。すごくない?笑
サイレントマジョリティって言葉も再注目された時にタイムリーな題名にしたなぁ、秋元康って恐ろしいなぁ、ということです。
この曲の何がすごいっていうと、歌詞を見ればわかるのだが、デビュー曲なのに既に「群れずに1人1人アイドル戦国時代を戦え」と強調しているところである。
しかも、アイドルという同じ服装、同じ振り付け、同じ表情をした集団であるというのに、この曲を歌わせる。
歌わせるのはもちろん大人であるし、中には「見栄やプライドの鎖に繋がれたようなつまらない大人」もいる。秋元康がプロデュースするアイドルは基本プロデュースという支配を受ける側の存在であるのに「君は君らしく生きて行く自由があるんだ 大人たちに支配されるな」「君は君らしくやりたいことをやるだけさ One of themに成り下がるな」と群れさせない方針であるのがまた矛盾をついていて面白い。面白い…。
この曲がすごい理由に、さらに1つ大事なスパイスがあるのに気づきました?
センターの平手友梨奈である。
この曲が求める世界を体現できるのは欅坂46、いや現代のアイドルの中で平手友梨奈しかいないと確信できる。というか平手友梨奈がダントツのアイドル気質なのだ。
乃木坂46でデビューからセンターを飾ってきた生駒里奈とはまた別の天性のアイドル気質であろう。生駒里奈は自分だけではなくメンバーも引き立てるようなセンターであるが、平手友梨奈は他のメンバーを霞ませるほどの世界を放ち、独壇場ともいえる曲にさせる。
欅って、書けない?でセンターに指名された時は震えた声で返事をしていた14歳が、曲の顔であり、グループを背負う立場に抜擢されたことに覚悟を決め、もはやグループの顔であるという大きな責任を背負った結果ここまで化けるとは誰も想像しなかったであろう。
堂々と私がセンターだと視聴者に説得する瞬間が好き。あのショートカットから覗く鋭い視線は空気を切り裂く力を持ち、視聴者は一気に引き込められ、殺される。そう、平手友梨奈は目で殺すのである。
余談ではあるが、私は東京国際フォーラムにて行われた、デビュー前のカウントダウンライブに行っている。生であの眼光を目の当たりにした私は、一瞬で殺され、感動以外の感情を失ったのである。
あの目力、力強いパフォーマンス、多彩な表情を見せる平手友梨奈は只者ではない。あのMV製作時、14歳だぞ?震えて眠れ。